日韓交流を通じて若者に希望を
令和5年4月14日
http://www.kookje.co.kr/news2011/asp/newsbody.asp?code=1700&key=20230411.22021003041
大塚剛駐釜山日本総領事
「みなさん!同窓会、楽しいですか。」「はい!」「また参加したいですか。」「はい!」
去る3月中旬、釜山水営(スヨン)区広安里(カンアンリ)のあるホテルの宴会場で「JENESYS」韓国青年訪日団嶺南地域同窓会が開催された。JENESYSとは、21世紀東アジア青少年大交流計画(Japan-East Asia Network of Exchange for Students and Youths)の略称であり、2007年に開始された日本とアジア諸国の青少年交流事業をいう。これまで約10万人のアジア諸国の青少年がこの交流事業で訪日しており、韓国からは約2万人が参加した。
嶺南地域で初めて開かれた今回の同窓会にはJENESYSでの訪日経験者、約100名が集まった。
著者は東京勤務時代、JENESYSを含む、日本と世界各国との青少年交流計画を総括していた。その時、多くのJENESYS参加経験者から、帰国した後も活動を継続したいとの声を聞いていた。その願いの一部分を実現したのが、今回の同窓会だ。
社団法人釜山韓日親善協会が準備した今回の同窓会で、最も印象に残ったのは、JENESYSへの参加を契機に人生が大きく変わったという参加者らの経験談だった。JENESYSへの参加を契機に日本への関心が高まり、現在は国際交流員として日本の地方自治体で日韓の橋渡し役を果たしている参加者。JENESYS参加後、再び訪日し、大型ディスカウントストアで仕事をした経験と人脈を活かし、日本で韓国化粧品の販売を開始し、年商200億ウォンを稼いでいる若手起業家。彼らは交流を通じて新たなチャンスをものにした若者たちだ。
昨今、韓国でも日本でも若者たちを取り巻く環境は必ずしも良くない。なんとか就職したもののコロナ禍で離職せざるを得なくなった若者、そもそも働き口が多くなく、自分が希望する就職先を見つけられなかった青年。大都市はもちろんのこと、地方都市での就職は簡単ではないとの見方が多い。そうした中、新しい環境・分野で自らの興味と能力を活かせる将来を探す機会となるのが国際交流である。
昨年十月以降、日本と韓国との人的交流は上昇傾向に転じた。昨年だけでも韓国からは百万人以上が日本を訪れ、日本からも三十万人を超える人々が韓国を訪れた。今年に入ってもこのような傾向は続いている。観光地を訪れ、日本食とその地域の風物を楽しむ。
このような旅行も日本を楽しむ方法の一つだが、JENESYSプログラムはこれと異なる。日本の地方都市を訪問し、普通の日本人の家庭にホームステイもする。地方都市の現状を視察し、時には農業水産業も体験する。サッカー競技など試合も行い、ともに練習し合宿することもある。災害を被った地域を訪問し、現場を直接見て被災者の話を聞き、当時の状況や復興状況を実感する。新たな体験と経験が自らの適性と将来を把握する契機となる。そして、新たな熱意が希望の機会を提供する。
先日日本で開催された日韓首脳会談で青少年交流に関する尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と岸田文雄総理の対話はさらに進展した。今般の尹大統領の訪日を契機として、両国の経済団体が未来志向の日韓協力・交流のための「日韓・韓日未来パートナーシップ基金」を創立すると表明したことを歓迎した。韓国と日本は民主主義、自由市場経済といった基本的価値観を共有する隣国である。特に釜山をはじめとする嶺南地域は日本と超広域経済圏に位置している。両国は交流再開による経済的効果をいつにもまして実感している。
「日韓・韓日未来パートナーシップ基金」の具体的な事業内容については、現在、日本の経団連・韓国の全経連が協議する段階にある。両国財界を代表する2つの団体が政治・経済・文化等の分野における未来志向の日韓関係の構築に向けた研究と事業を実施し、また、未来を担う若者の交流が今後の両国の協力のための有意義な交流と協力につながることを信じて疑わない。